episode.5
「沈黙 -A silence-」
「…ん?」
俺は目が覚めた。
もう昼だ。
「結構、寝たな…」
俺は、朝ご飯を殆ど七夕に盗られたので、腹が減っていた。
「…冷蔵庫に入ってるんだっけ?」
そう独り言を言うと、俺は台所へ行った。
今日の昼ごはんはオムライスだ
あいつは、またこんなに沢山つくって…
全部食べないことぐらい分かっているだろうに。
俺は面倒だったので、温めずに食べた。
「冷てぇ…。」
やっぱり温めることにする。
俺は猫舌なので、あまり温めすぎないのがコツだ。
いつもこう思っているのだが、温めすぎなかったことがない。
いつも熱すぎる。
きっと今日も。
まぁ、いい。
温めすぎたら七夕にでも食べさせればいい。
俺はあんぱんでも囓ってるさ。
ちょうど良い熱さだったら一口もやらん。
オムライスを温めている間、俺は暇なのでテレビをつけた。
相変わらずくだらない。
どこかの国で起きた戦争や、殺人事件、交通事故。
ロクなもんじゃない。
見てても気が滅入るだけだ。
わかっているハズなのに。
テレビを見ても、鬱になるだけだと分かっているのに
どうして俺は毎日テレビをつけてしまうのだろうか。
わからない。
自分の事なのに分からない。
-----ピーピーピー
温め終わったみたいだ。
今日は上手くできているだろうか。
「あつっ!」
駄目だ。
皿だけでもこの熱さだ。
食べられたもんじゃない。
…仕方ない。七夕にやるか。
「おい。七夕。でてこい。」
返事がない。
寝ているのだろうか。
「おーい?七夕ー?寝てるのか?」
返事がない。
「七夕?」
何処へ行ったのだろうか。
「おい!七夕!七夕!」
オムライスが冷めても、七夕からの返事はなかった。
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